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DATA-DRIVEN NOVEL RANKING

阿部 和重

山形県東根市出身の小説家・映画評論家。日本映画学校を卒業後、演出助手などを経て、1994年に「アメリカの夜」で群像新人文学賞を受賞しデビュー。

8,107件のインターネット上の評価データを分析した、おすすめ小説ランキング

掲載作品数
20作品
総レビュー数
8,107件
高評価率
48%
★4以上の割合
最多レビュー作品
キャプテンサンダーボルト
2,862件
最も高評価率の作品
キャプテンサンダーボルト
64%(2,862件)
最も賛否が分かれた作品
グランド・フィナーレ
低評価・高評価ともに20%以上

データから見える特徴

全体の高評価率は過半数に届かず、作品ごとの満足度にばらつきが目立つ傾向があります。レビュー数が最も多い「キャプテンサンダーボルト」は高評価率も上位に入っており、知名度と満足度が比較的一致した稀なケースです。一方で、高評価率上位の作品はレビュー数が中央値付近にとどまるものが多く、知名度と満足度の乖離が見られます。

  • 2000年代以前の初期作品はレビュー数が多くても高評価率が伸び悩む傾向がある
  • 「クエーサーと13番目の柱」は高評価・低評価ともに一定数あり、賛否が割れている
  • 2010年代以降の作品が高評価率の上位に複数入っており、近年作の評価が高い傾向がある

ながら聴きでもご視聴いただけます

ランキング

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1キャプテンサンダーボルト

キャプテンサンダーボルト

2014年刊行

4,772pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

伏線回収や疾走感のあるエンタメ小説が好きな読者に向く

読者の声を分析

支持されている点

  • 複数の伏線が丁寧に回収される構成への支持が多い
  • テンポよく読める疾走感と爽快な読後感が評価されている
  • コロナ禍を予感させる感染症描写への驚きの声が多い

賛否が分かれる点

  • ボリュームの多さと冗長さを指摘する声がある
  • 合作による伊坂らしさの薄れを感じるという意見もある

内容紹介

借金を抱えた平凡な男が、ひょんなことから謎の液体を手にしたことで、冷酷非情な銀髪の追跡者に命を狙われることになる。逃亡の末に再会したのは、小学校時代の野球仲間。ふたりは愛犬一匹を連れて、壮大な陰謀へと引きずり込まれていく。戦時中に蔵王連峰へ墜落した米軍機、パンデミックを引き起こしかけた謎の感染症、そして封印された幻の特撮映画。一見バラバラに見える謎が、少年時代の記憶と絡み合いながら一本の線として繋がっていく。ロードムービーを思わせる疾走感で一気に読ませる一方、丁寧に仕込まれた伏線が終盤に向けて収束する快感は圧巻。どん底からの逆転はあるのか。絶望的な状況の中でも諦めずに走り続けるふたりの姿は、まさに少年漫画的なスローガン、友情・努力・勝利を体現している。多彩な謎とアクションを詰め込んだ、お腹いっぱいな娯楽大作。

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絶賛573
好評1,263
普通854
不評132
酷評40

TOTAL 2,862 reviews

2シンセミア

シンセミア

2003年刊行

3,032pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

長大な悪人群像劇や暴力的カタルシスを楽しめる読者向け

読者の声を分析

支持されている点

  • 伏線の回収とカタルシスの大きさが高く評価されている
  • 多数の登場人物を動かす群像劇の構成力が称えられている
  • 不快感を覚えながらも読む手が止まらない吸引力がある

賛否が分かれる点

  • 悪徳・性的倒錯描写が多く読者を選ぶという声が多い
  • 感情移入できる人物が皆無という不満が繰り返し挙がる

内容紹介

山形県の架空の片田舎、神町。どこにでもありそうなこの町は、戦後日本の縮図として描かれる。米軍占領政策の恩恵を受けたパン屋と、裏社会に根を張るヤクザ。二つの家が牛耳るこの町では、覗きと噂と欲望が日常に潜んでいる。総勢六十名以上の登場人物は揃いも揃ってどうしようもない人間ばかりで、清々しいほど善の姿が無い。それぞれの思惑と欲望が悪を重ね、秘密を生み、露顕を防ごうとさらなる悪に手を染める。炎熱の夏、未曾有の洪水が神町を水没させると、ふたつの遺体とともに、終戦直後に起きた忌まわしい過去が浮かび上がる。不穏な噂が町を覆い尽くし、やがて二大勢力の全面抗争へと発展してゆく。目による監視と耳による噂のネットワークが重層化するにつれ、物語のエントロピーは爆発的に増大する。読む手を止められないのに、読み進めるほど精神を削られる。それでもページをめくってしまう。これが神町の呪いだ。伊藤整文学賞と毎日出版文化賞をダブル受賞した傑作長編。

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絶賛326
好評281
普通490
不評40
酷評26

TOTAL 1,163 reviews

3インディヴィジュアル・プロジェクション

インディヴィジュアル・プロジェクション

1997年刊行

1,649pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

解釈の余地がある曖昧な物語を楽しめる、実験的な純文学好きの読者向け

読者の声を分析

支持されている点

  • 現実と妄想の境界が曖昧な構成への引き込まれ感
  • 日記形式と信頼できない語り手の巧みな組み合わせ
  • スピード感のある読みやすい文体

賛否が分かれる点

  • 結末や伏線の処理に消化不良を感じる声が多い
  • 難解さで理解が追いつかないという声が目立つ

内容紹介

渋谷・公園通りを舞台に、映写技師として生きるオヌマの日常は、スパイ私塾で鍛錬を積んだ過去と奇妙に交差している。圧縮爆破加工を施されたプルトニウムをめぐるトラブルに巻き込まれ、ヤクザや旧同志たちとの息詰まる心理戦が幕を開ける。映画フィルムに仕掛けられた暗号、騙しあいと錯乱が重なり合う中、物語はやがて別の相貌を帯びはじめる。「何が真実なのかがわからないどころではなく、誰が俺なのかがわからなくなる狂気の展開」と評されるほど、アイデンティティそのものが解体されていく。日記形式で淡々と積み重なる文体は、読み進めるうちに信頼の足場を静かに崩し、「小説の中で迷子になってしまう」感覚へと読者を誘う。著者のデビュー作から通底するテーマを、エンターテインメントの皮をまとい深化させた本作は、チャック・パラニュークの「ファイト・クラブ」との驚くべき共鳴も指摘されている。転移と分裂が共存する渋谷という磁場で、自意識は空転し続ける。

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絶賛98
好評150
普通343
不評34
酷評15

TOTAL 640 reviews

4アメリカの夜

アメリカの夜

1994年刊行

1,287pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

自意識や「特別な存在」への渇望を経験した読者、メタフィクション的構造を楽しめる読者向け

読者の声を分析

支持されている点

  • 自意識をめぐる青春小説として共感を得ている
  • 前半の難解さから後半へのスピード感の転換が評価されている
  • 複雑な語りの構造と文学的仕掛けが支持されている

賛否が分かれる点

  • 難解で回りくどい文体への賛否が分かれる
  • ストーリーの進展が乏しく読み進めにくいという声がある

内容紹介

映画学校を卒業し、アルバイトで生計を立てる青年、中山唯生。芸術を志す若者の多くと同様に、彼は自分が「特別な存在」であることを渇望し、体を鍛え、思索を重ねる日々を送っている。ある読者が「凡庸な芸術家たちのアンソロジー」の巻頭に据えるべき作品と評したように、本作は自意識と虚構のあいだで身悶えする若者の姿を鮮烈に描き出す。語る自分と語られる自分が分裂し、読者を攪乱しながらも物語は静かに進行する。難解で饒舌、理屈屋で曲者という著者独特の文体は、デビュー作からすでに全開であり、ワナビー的な痛々しさが癖になると評されるほどの屈折した熱量に満ちている。閉塞感漂う社会のなかで「本当の自分」を模索する姿は普遍的な問いを突きつけてくる。後半に向かうにつれ物語は加速し、最終局面では驚くべき振れ幅を見せる。群像新人文学賞を受賞した著者のデビュー作にして、芥川賞候補にも輝いた意欲作。

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絶賛81
好評103
普通190
不評30
酷評16

TOTAL 420 reviews

5ピストルズ

ピストルズ

2010年刊行

1,154pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

「シンセミア」既読で神町サーガを追いかけている読者や、重厚な文学的実験を好む上級者向け。

読者の声を分析

支持されている点

  • 一族の秘史が緻密に積み重なる世界観
  • 他作品と複雑にリンクする構成
  • 終盤に向けて高まるカタルシス

賛否が分かれる点

  • 前半の独白形式が長く単調との声も
  • 前作と異なる文体・展開への戸惑い

内容紹介

甘い香りと美しい歌声に満ちた、世間から隔絶された夢の花園。しかしその実態は、人心を自在に操る一子相伝の秘術を持つ魔術師一家が、実に千二百年にわたって住まうディストピアだった。田舎町で書店を営む石川が、ひょんなことから接触することになった菖蒲家。四姉妹の次女・あおばが語り始めたのは、一族の間で脈々と受け継がれてきた、目眩めく壮大な歴史だった。忌まわしい伝承を自分の代で断ち切ろうとしていた父が、一族の呪縛に絡め取られていく様子が克明に描かれる。そして秘術の継承者に選ばれた末娘・みずきが、地獄さながらの修行の末に開花させてしまった能力が、取り返しのつかない事態を引き起こしてゆく。やがて物語は、二〇〇五年夏に起きた血の日曜日事件の隠された真相へと雪崩れ込んでいく。芥川賞作家による谷崎潤一郎賞受賞作にして、神町トリロジー第二部。降り積もる雪のようにしんしんと静かに膨らんでゆく、分類不能の傑作巨編。

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絶賛75
好評122
普通116
不評41
酷評16

TOTAL 370 reviews

6ニッポニアニッポン

ニッポニアニッポン

2001年刊行

1,080pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

社会から孤立した若者の狂気を緊張感をもって読みたい人に向く

読者の声を分析

支持されている点

  • 引きこもり青年の妄想と暴走が説得力を持って描かれている
  • 短いページ数で一気に読めるスピード感と構成の巧みさ
  • ラストシーンの洋楽引用が余韻を残すと好評

賛否が分かれる点

  • 後半の展開が失速するという声も一定数ある
  • 主人公の思考が紋切り型に映り物足りないという意見もある

内容紹介

自分の名前に「鴇」の一文字を持つ17歳の少年、鴇谷春生。ストーカー行為で地元を追われ、高校を中退し、引きこもりの日々を送る彼は、やがてインターネットの海に深く潜り込んでいく。そこで膨らんでいくのは、国家によって管理され、保護される特別天然記念物トキへの異様な共感と怒り。「俺の人生に大逆転劇を起こす」という衝動に突き動かされた彼は、佐渡トキ保護センターを標的とした独自の革命計画を練り上げ、ついに部屋を飛び出す。繭から羽化するように武装した少年の暴走は、やがて取り返しのつかない結末へと向かっていく。三島由紀夫の金閣寺を想起させる象徴破壊の衝動、ボヘミアン・ラプソディが流れる哀切なラストシーン、そして最終章に仕掛けられた巧みな視点の転換。「惹き込まれてはいけない類の思考回路に惹き込まれる」と読者を唸らせる、研ぎ澄まされた知的企みに満ちた一篇。

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絶賛34
好評113
普通246
不評33
酷評9

TOTAL 435 reviews

7ブラック・チェンバー・ミュージック

ブラック・チェンバー・ミュージック

2021年刊行

1,015pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

スパイ・ヤクザ絡みのエンタメとほろ苦いラブストーリーを同時に楽しみたい読者向き

読者の声を分析

支持されている点

  • テンポよい会話と軽妙なユーモアが評価されている
  • 個性的な脇役キャラクターへの好意的な声が多い
  • 映画的な疾走感と先を読ませない展開が支持されている

賛否が分かれる点

  • 終盤の真相・オチが設定の壮大さに比べて物足りないという声がある
  • 主人公のダメっぷりが盛り上がりを阻害すると感じる読者もいる

内容紹介

落ちぶれた元映画監督・横口健二の前に、ある日突然「極秘任務」が舞い込む。一冊の映画雑誌を手に入れろ、というその依頼の裏には、国家を揺るがす禁断の事実が隠されていた。横口は北朝鮮からの名もなき女・ハナコとともに、蠢く陰謀と暴力組織の抗争に否応なく引きずり込まれていく。タイトルは秘密情報部を意味するブラック・チェンバーと、室内楽を意味するチェンバー・ミュージックを掛け合わせた造語であり、その言葉通り、緊迫した諜報劇と親密な愛の旋律が二重奏のように絡み合う。金正日が書いたとされるヒッチコック論をめぐる謎、米朝首脳会談を背景にしたリアルな国際情勢、そして出会うはずのなかった男女の間に芽生える感情。批評家からは「阿部版・愛の不時着」とも評されるこの物語は、荒唐無稽でありながら、確かな厚みと切なさをたたえている。「出会うものの一つずつは薄っぺらなのに、気づけば厚みが生まれる。つまり、この物語は人生そのものを描いている」という言葉が、物語の本質を鮮やかに言い表している。

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絶賛43
好評43
普通32
不評6
酷評2

TOTAL 126 reviews

8無情の世界

無情の世界

1999年刊行

874pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

暴力や狂気をテーマにした実験的な文体に抵抗のない読者向け。

読者の声を分析

支持されている点

  • 暴力や狂気をコミカルに描く独特の軽さが評価されている
  • テンポよく読み進められる文体の疾走感が支持されている
  • 狂気と笑いが隣り合う世界観の独自性が高く評価されている

賛否が分かれる点

  • 情報過多で饒舌な語りが読みにくいという声がある
  • 表題作の分量の少なさに拍子抜けする読者もいる

内容紹介

野間文芸新人賞を受賞したデビュー期の傑作短編集。収録されるのは三つの物語で、いずれも鬱屈した衝動が炸裂する瞬間を鮮烈に切り取っている。父の愛人に恋文を綴る小学六年生の語りで展開する一編では、純粋な視点が逆説的に狂気の深みを際立たせ、読み終えた後に背筋がひやりとする。ストーカーの行動を手紙形式で描いた作品では、一見すると論理的で切実な独白が積み重なり、気づけば完全に持っていかれる感覚に陥る。そして暴力の連鎖が加速する中編では、錯綜した展開が驚異的なドライブ感で収束し、読み応え抜群と評されている。全編に共通するのは、陰惨であるにも関わらず漂う奇妙な明るさと笑いであり、まるで暗い暴力と喜劇が同居しているかのような独特の風通しの良さがある。理性を超えた欲望なのか、欲望を超えた理性なのか、狂気の裏側には笑いが潜み、笑いの裏側には狂気が佇む。現代ニッポンを覆う歪みをここまで突き抜けた筆致で描ける作家は、ほかにいない。

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絶賛43
好評56
普通170
不評21
酷評13

TOTAL 303 reviews

9和子の部屋

和子の部屋

2011年刊行

804pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

現代女性作家に関心がある読者や、創作の裏側を知りたい文学好きに向く。

読者の声を分析

支持されている点

  • 阿部和重の的確な分析力と論理的な返答が高く評価されている
  • 女性作家たちの創作論や本音が垣間見える内容が好評
  • 真剣な悩みを茶化さず誠実に向き合う姿勢が支持されている

賛否が分かれる点

  • 創作にまつわる抽象的な議論が難解と感じる声もある

内容紹介

男性作家が「和子」という女性名を名乗り、時代を代表する女性作家10人の人生相談に答えるという、前代未聞の対談集です。角田光代、江國香織、川上未映子、金原ひとみ、朝吹真理子、綿矢りさ、加藤千恵、島本理生、川上弘美、桐野夏生という錚々たるメンバーが、創作の悩みから恋愛まで赤裸々な相談を持ち込みます。「幸福と小説は両立するの?」「毎日プレッシャーで吐きそうです」「書くことの終わりが見えません」、言葉を生業にするプロたちの悩みは、一見日常的でありながら、突き詰めると作家という職業の根幹に触れる深いものばかりです。「悩み相談が結果的に文学論になる」というある読者の言葉通り、書くことと生きることが不可分な作家たちの本音が浮かび上がります。和子こと阿部和重の鋭い分析と的確な返しが光り、実践的な創作論としても楽しめる構成になっています。

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絶賛26
好評52
普通23
不評4
酷評4

TOTAL 109 reviews

10ミステリアス・セッティング

ミステリアス・セッティング

2006年刊行

764pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

純粋すぎるヒロインの悲劇的な物語と荒唐無稽な展開を許容できる読者向け。

読者の声を分析

支持されている点

  • 文章が読みやすく一気読みできるという声が多い
  • 後半のスピード感と展開の引力が評価されている
  • おとぎ話的な雰囲気と救いのなさの共存が印象的との声がある

賛否が分かれる点

  • 主人公の受け身な性格にイライラするという意見が目立つ
  • 前半と後半の展開が噛み合わないと感じる読者が多い

内容紹介

歌を愛しながらも、唄う才能を持たない19歳の少女シオリ。吟遊詩人という夢を抱きながら、周囲の人間にその純粋さを次々と利用され、踏みにじられていく。まるで現代版「マッチ売りの少女」と呼ぶにふさわしい、痛いほど切ない運命の物語です。前半はシオリの半生を描いたドキュメント的な色合いを帯びながら静かに進みますが、後半は突如として小型核爆弾入りのスーツケースを託されるという超展開に突入し、読む手が止まらない加速系サスペンスへと姿を変えます。「腹立たしいのに読む手は止まらない」という読者の声が物語る通り、主人公の無垢さと理不尽な境遇が織り成す独特の緊張感は最後まで途切れません。絶望と希望が紙一重で同居するラストには、不覚にも涙をこぼす読者も続出。「救いのなさが救い」とも評される、極限まで純真さを追求した異色の物語です。

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絶賛29
好評48
普通99
不評14
酷評6

TOTAL 196 reviews

11オーガ(ニ)ズム(改題: Orga(ni)sm オーガニズム)

オーガ(ニ)ズム(改題: Orga(ni)sm オーガニズム)

2019年刊行

561pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

前2作を読んだシリーズ読者、またはスパイ・ロードムービー系エンタメが好きな読者向き。

読者の声を分析

支持されている点

  • 前2作と異なるコミカルでエンタメ寄りな読み口が支持されている
  • 日米関係を重ねた虚実入り混じる構成の巧みさが評価されている
  • 三部作の伏線が収束していく達成感を挙げる声が多い

賛否が分かれる点

  • 800ページ超の長さと前半の冗長さに不満が集まっている
  • 結末・核心部分の描写が薄く消化不良という声がある

内容紹介

「現実が終わり、伝説も終わる。」ある夜、作家の自宅に瀕死のCIAケースオフィサーが転がり込んでくる。組織内の裏切りにより窮地に陥った男ラリーと、幼い息子を連れた作家が向かう先は、首都機能が移転した新都・神町。そこでは秘術アヤメメソッドをめぐる各国諜報機関の暗躍と、米大統領を標的にした核テロ計画が進行していた。著者自身が主人公として登場するメタフィクション的構造を持ちながら、「刹那的、或いは壮大な目的のために生きる者たちが織りなす、思いもよらぬ結末に痺れるほかない」破格のロードノベル。シリーズ三作を貫く壮大な偽史が、この完結篇でついに収束する。

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絶賛25
好評21
普通18
不評5
酷評4

TOTAL 73 reviews

12グランド・フィナーレ

グランド・フィナーレ

2005年刊行

537pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

純文学の実験的な文体や不穏な余韻を好む読者向け

読者の声を分析

支持されている点

  • 乾いた文体と独特の語り口への評価が高い
  • 前後半で印象が変わる構成が読者を引き込む
  • 主人公の自意識と行動のズレが不気味でリアルとの声

賛否が分かれる点

  • 結末が唐突・曖昧で消化不良という指摘が多い
  • 主人公の性癖描写に強い嫌悪感を覚えるとの声も多い

内容紹介

すべてを失った男が故郷・神町へと舞い戻り、二人の女児と出会うところから物語は動き出す。芥川賞受賞の表題作は、「自業自得によって全てを失った主人公が不運を言い訳にする」という内向的な筆致で、冷淡なまでに淡々と語られる。「地の文が主人公の目線で語られる上、硬めの文体なので主人公がまるで正しいと錯覚しそうになる」という罠が随所に仕掛けられ、読者は静かに揺さぶられ続ける。安堵を期待した先に待ち受けるのは、「結局フィナーレは読者の想像に任され不穏なまま」という余韻。「箱庭を外から眺めているような」奇妙な感覚が最後まで拭えない、一筋縄ではいかない問題作。

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絶賛43
好評132
普通495
不評137
酷評62

TOTAL 869 reviews

13ABC戦争 plus 2 stories(改題: ABC戦争)

ABC戦争 plus 2 stories(改題: ABC戦争)

1995年刊行

396pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

難解な文体や形式実験を楽しめる、前衛的な小説に慣れた読者向け。

読者の声を分析

支持されている点

  • 冒頭の難解さを乗り越えると引き込まれるという声が多い
  • 記号や語りの構造を実験する形式への挑戦が評価されている
  • 冗長に見える文体が独特のリズムと中毒性を持つと好意的に捉えられている

賛否が分かれる点

  • 意味や結末が最後まで不明瞭で理解しにくいという不満が目立つ
  • エンターテインメントとしての面白さより実験性が優先されている印象が強いという声がある

内容紹介

地方の通学列車で起きた不良高校生同士の小競り合い。それがなぜヤクザまでをも巻き込む全面抗争へと暴走したのか。舞台はアルファベットで記号化され、語り手の青年は探偵であり哲学者であり小説家でもあるという多重の顔を持つ。デビュー作に続く著者の初期作品集は、意味が希薄なアルファベットに重層的な役割が与えられていく実験的な構造を持ち、難解でありながら奇妙な中毒性をはらんでいる。読み手は物語から突き放されながらも、後半では一気読みを余儀なくされるという不思議な引力がある。文学の最先端で闘い続けた著者の、小説表現の可能性を探った野心的な軌跡。

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絶賛8
好評26
普通125
不評12
酷評10

TOTAL 181 reviews

14シネマの記憶喪失

シネマの記憶喪失

2007年刊行

361pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

映画好きやシネフィルで、批評的な視点から映画を語る対話を楽しみたい読者向け。

読者の声を分析

支持されている点

  • 映画への深い愛情と熱量が伝わるという声が多い
  • 対談形式によるライブ感と語りの説得力が評価されている
  • 未見作品を観たくなる映画案内としての機能が支持されている

賛否が分かれる点

  • 知識量が高度すぎて難解と感じる読者もいる

内容紹介

芥川賞作家と三島賞作家、文壇きっての映画狂二人が語り尽くす、圧倒的熱量の映画対談集。ゴダールからスピルバーグ、イーストウッドから黒沢清まで、時空を超えて論じ尽くす濃密な全22セッション。真っ向から意見を対立させたかと思えば次の瞬間には意気投合する、ライブ感溢れるやりとりは読んでいるだけでスリリング。批評界の重鎮・蓮實重彦を迎えた鼎談も収録し、まさに「卓越したシネフィルがどのような切り口で映画を観ているかがよくわかる」一冊。取り上げられた作品は、見た後に読めばさらに楽しく思い返され、未見のまま読めばきっとその映画が見たくなる。映画は観るものではなく、体験するものだと気づかせてくれる対談集。

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絶賛4
好評19
普通26
不評3
酷評0

TOTAL 52 reviews

15映画覚書vol.1

映画覚書vol.1

2004年刊行

333pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

シネフィルや映画批評に関心のある読者に向く一冊。

読者の声を分析

支持されている点

  • 言及作品をすべて観たくなる刺激がある
  • 対談パートへの満足度が高いという声が多い
  • 映画への視点の鋭さが評価されている

賛否が分かれる点

  • 書籍としての構成・編集への不満が見られる
  • 特定の批評家への傾倒が賛否を分けている

内容紹介

映画学校出身の純文学作家が放つ、鋭利な視線の映画批評集。タランティーノからゴダール、スピルバーグ、北野武、そしてアイドル主演作まで、あらゆるジャンルを同一の地平で論じ尽くす。1999年から2004年にかけて執筆された49編の批評に加え、中原昌也、蓮實重彦との対談も収録。「ここで紹介されている映画を全部観たくなった」という読者の声が示すとおり、映画との新たな向き合い方を提示する一冊。作家としての視点が映画批評に持ち込まれることで生まれる独自の切り口は、単なる鑑賞記録を超え、現在の文学と映画の交差点を探る試みとなっている。

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絶賛7
好評8
普通26
不評2
酷評0

TOTAL 43 reviews

16ULTIMATE EDITION

ULTIMATE EDITION

2022年刊行

329pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

社会風刺・バイオレンス・ダーク小説を好む読者に向く短編集

読者の声を分析

支持されている点

  • 時事問題をフィクションに溶かす手腕が高評価
  • シリアスな中のユーモアや皮肉の切れ味が好評
  • 現実と虚構が交錯する読み心地が支持されている

賛否が分かれる点

  • 各編のテーマが散漫に感じるという声もある
  • 読者によってはすっきりしない幕切れが多いと感じる

内容紹介

ポケモン少女、極右大統領、イーロン・マスク、闇バイト……現実の断片が鋭く刻み込まれた全16篇の短編集。ロシア軍特殊部隊員、22世紀の仮想時空修学旅行でシリアへ降り立つ高校生、人生の再起をかけた高級車窃盗闇バイトなど、一触即発の世界を生きる者たちが躍動する。アイドルグループとのコラボ作品も収録し、バイオレンス、クライム、SF、官能まで多彩なジャンルを横断。「ふざけているようでいて実は真剣だから、気高さがある」と称された筆致で、陰謀論が蔓延するこの世界の実像を抉り出す。虚構と現実の境界を揺さぶり続ける、魅惑的な短編集。

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絶賛13
好評17
普通25
不評7
酷評3

TOTAL 65 reviews

17阿部和重対談集

阿部和重対談集

2005年刊行

277pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

阿部和重作品の愛読者や、現代文学・小説論に関心のある読者に向く

読者の声を分析

支持されている点

  • 多彩な対談相手から多角的に著者像が浮かぶ点が評価されている
  • 作家の創作思考や小説論が深く掘り下げられているという声が多い
  • 作品を読むうえでの理解や視野が広がると好評

賛否が分かれる点

  • 内容が難解で理解しにくいという意見が複数ある
  • 一部の対談は著者よりも相手側の掘り下げが目立つとの声もある

内容紹介

デビューから芥川賞受賞までの約10年間を、高橋源一郎、保坂和志、蓮實重彦、浅野忠信、桐野夏生、東浩紀ら総勢14名との対談で振り返るファースト対談集。文学、映画、音楽、アート、ネットと多岐にわたるテーマを縦横無尽に語り尽くし、その創作の源流が浮き彫りになる。真面目でカタいものからゆるく軽いものまで、相手によって引き出される話が万華鏡のように異なるのが特徴で、読者からは「欲望を映し出す鏡のような作家」とも評される。東浩紀と法月綸太郎との鼎談では両者一歩も引かない激論が展開され、知的興奮に満ち溢れている。作家はこれほどまでに深く複雑なことを考えながら作品を生み出しているのかと、読者に根本から問い直させる一冊。

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絶賛4
好評11
普通20
不評2
酷評0

TOTAL 37 reviews

18プラスティック・ソウル

プラスティック・ソウル

2006年刊行

185pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

著者の初期実験作に関心がある既読者向けで、入門には不向きとの声が多い。

読者の声を分析

支持されている点

  • 複数の語り手が入れ替わる実験的な文体が評価されている
  • ドラッグや妄想による酩酊感のある読み心地を面白いとする声がある
  • 著者の作風の変遷を知る上で重要な位置づけとして興味深いという意見がある

賛否が分かれる点

  • 物語の核や着地点がなく難解・読みづらいという不満が多い
  • 著者の他作品と比べると手法だけが目立ち完成度が低いという声が多い

内容紹介

出版社からの依頼を受けた四人の作家志望者が、共同創作という名目のもとに集められる。彼らの名前はアシダ、フジコ、ウエダ、エツダ。それぞれの名前に隠された記号的な仕掛けが、すでに物語の異様さを予告する。語り手は一人称と三人称の間を不規則に揺れ動き、誰の視点で語られているかがみるみる曖昧になっていく。ドラッグと妄想が渦巻く世紀末の東京を舞台に、主体はやがて制御不能な崩壊へと向かう。まるで薬物でトリップしたような読み心地、と評した読者もいるほど、意識の境界線そのものを溶かすような文体が特徴だ。空虚な中心の周辺をぐるぐると回り続ける螺旋構造、と称されたこの物語は、著者の作風を凝縮した幻の初連載小説として長らく封印されていた一作である。

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絶賛7
好評7
普通48
不評5
酷評5

TOTAL 72 reviews

19Deluxe Edition

Deluxe Edition

2013年刊行

129pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

ブラックユーモアや実験的な純文学、サブカルチャーへの造詣がある読者向き。

読者の声を分析

支持されている点

  • 洋楽楽曲タイトルと装丁のセンスが高く評価されている
  • 暴力・社会問題をユーモアで包む独自の文体が支持されている
  • 9.11から3.11を貫くコンセプト構成への評価が多い

賛否が分かれる点

  • 結末が唐突で消化不良という声が複数ある
  • 難解・意図が掴めないと感じる読者が一定数いる

内容紹介

マイケル・ジャクソン、U2、デヴィッド・ボウイ……著名アーティストの楽曲名を冠した12の短編が収録された、まさに一枚のアルバムのような作品集。テロ組織のリーダーを葬る作戦に加わる少年たち、原発事故後の警戒区域へ忍び込むチンピラ、婚活パーティーに挑むサラリーマン。世界中の暗部からすくい上げた物語が、乾いた文体と毒の効いたユーモアで次々と展開する。重い社会問題をエンタメに引き寄せながらも純文学の砦を崩さない、その絶妙なバランスこそが本作の真骨頂。読み終えて本を閉じると、不思議と面白かったと思ってしまう、そんな中毒性を持つ短編集。

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絶賛7
好評18
普通28
不評8
酷評6

TOTAL 67 reviews

20公爵夫人邸の午後のパーティー

公爵夫人邸の午後のパーティー

1997年刊行

88pt

TOTAL SCORE

こんな方におすすめ

不条理文学や実験的な文体を好む読書経験豊富な読者向け

読者の声を分析

支持されている点

  • 独特の文体とリズムが生む疾走感が評価されている
  • 不条理でシュールな世界観への好意的な声が多い
  • 読みにくさの中にも独自の面白さがあるという意見が多い

賛否が分かれる点

  • 難解で内容が把握しにくいという声が多い
  • 万人向けではなく読者を選ぶという指摘が繰り返されている

内容紹介

隠された意味の仮装を剥ぐ、という言葉がすべてを象徴する短篇集。表題作は、欲望に揺れる主婦と危うい日常を生きる女子高生、二つの物語が並行して展開し、最後に鮮やかに交錯する。初期タランティーノ作品の小説版とも評されるパルプな疾走感と、句読点が息を呑むほど続く独特の文体が、読者を一気に引き込む。もう一方の収録作では、全身傷だらけの男が、自身の右瞼の傷の由来を語り始め、記憶と自己同一性が次第に揺らいでいく。案の定さっぱり分からなかったけど面白かった、という読者の言葉が、この作品の本質を鋭く突いている。理論武装した独特の人物たちが織り成す不条理な世界は、読むたびに新たな解釈を誘う。

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絶賛2
好評4
普通15
不評3
酷評0

TOTAL 24 reviews

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